サンスクリット語学習記録 第8回

「細々と続けている」と言えるのかどうかも微妙なくらい怠惰なペースで続けております。

 

動詞の現在組織の2グループ目です。

 

第2種活用:2、3、5、7、8、9類

 ・強語幹と弱語幹の区別がある。

 ・強語幹を用いるのは次の3パターン

 ① 直説法現在・直説法過去の単数 [P]

 ② 命令法の一人称すべて [P], [Ā] 両方

 ③ 命令法単数3人称 [P]

 ・命令法 [P] 二人称単数の語尾は、母音で終わる語幹には -hi, それ以外には -dhi を付ける。

 ・願望法では [P] では yā、[Ā] では ī が語幹と語尾の間に入る。

 

各類の語根の作り方をまとめます。順番はやりやすいように変えています。

 

第2類

・語根に直接人称語尾をつける。強語幹は母音のGuṇa化(たまにVṛiddhi化)で作る。

(例)√dviṣ(憎む)→ 強語幹:dveṣ 弱語幹:dviṣ

 ※例外が多く、複雑な連声も多い。

 

第3類

・重字(重複, Reduplication)によって語幹をつくる。重字は先頭の音節をつけてつくる。

 ① 有気音はそれに相応する無気音 (ch→c, th→t...)

 (例)√chid(絶つ)→完了 cicheda, √dhā(置く)→ 現在 dadhāmi

 ② 喉音はそれに相当する無気音 (k / kh→c, g / gh / h→j)

 (例)√khan(掘る)→完了 cakhāna, √hā(行く)→ 現在 jahāmi

 ③ 語根が複数の子音ではじまる場合、最初の子音に基づく

 (例)√dru(走る)→完了 dudrāva, √kruś(叫ぶ)→完了cukrośa

 ④ 上記③の最初の子音が歯擦音の場合、2番目の子音に基づく

 (例)√spṛś(触れる)→完了 parparśa, √sthā(留まる)→ 完了 tastha

 ⑤ 重字音節の母音は a を使うことが多いが、語根が i/u系列なら対応することも

 (例)√krī(買う)→完了 cikrāya, √kup(怒る)→完了 cukopa

 

第5類

・語根に no を付けて強語幹、nu を付けて弱語幹をつくる。

(例)√su(搾る)→ 強語幹:suno 弱語幹:sunu

 ※母音で終わる語根は、v/mで始まる語尾の前でnuをnにできる

 ※母音で始まる語尾の前では連声で強語幹:nav, 弱語幹:nvになる

 

第8類

・語根に o を付けて強語幹、u を加えて弱語幹をつくる。

(例)√kṛ(する、為す)→ 強語幹:karo, 弱語幹:kuru

 ※第8類は √kṛ 以外はすべて語末が n なので、実質第5類と同じ

 

第7類

・語根末子音の前に na を挟んで強語幹、n を挟んで弱語幹をつくる。

(例)√bhid(破る)→ 強語幹:bhinad, 弱語幹:bhind

 ※n は語根末の子音と同化する。

 (例)√yuj(つなぐ)→ yunaj / yuñj, √piṣ(砕く)→ pinaṣ / piṃṣ

 

第9類

・語根に nā を付けて強語幹をつくる。弱語幹は子音の前でnī, 母音の前でnを付ける

(例)√aś(食べる)→ 強語幹:aśnā, 弱語幹:aśnī, aśn

 ※鼻音が語根にあるときは、鼻音をとってから na/nī/n を付ける

 (例)√bandh → badhnā/badhnī/badnh, √manth → mathnā/mathnī/mathn

 

変化表の例。

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名称詞のところで思った通り、動詞がある文は構造が推測しやすい印象。

人称語尾は毎回出てくるので大体覚えてきましたが、語幹から語根を復元するところで形が大きく変わっているのが難しいポイントです。

 

練習問題で各章10文ほど読んだだけの感覚ですが、数や人称・時制は出現頻度に差があるのでよく出てくるものを覚えておくだけで結構理解が早まります。

両数の動詞が出てくる文は少ない…逆に出てきたときは主語が2つの何かだと推測ができるのでかえって読みやすいくらいです。

 

 

今までやってきた言語では意識することがなかった連声規則が一番手こずっている箇所かもしれません。

動詞の変化で出てきがちな複雑な連声をノートと参考書をあちこちめぐって理解できた瞬間、数学の問題の解法を見つけたときに近い感覚。

 

 

現在語幹は一通りやりましたが、まだアオリストやら完了やら残っているので動詞の変化がもう少し続きます。