サンスクリット語学習記録 第1回

サンスクリット語といえば複雑な語形変化。

語の変化パターンをひたすら覚える作業になるんだろうな…と想像して教材を開きましたが、

スタートして3週間経って、なんとまだ語形の変化表の章に入れていません。

 

というのも、個々の単語を構成する「音」についてまず理解する必要があるからです。

教材がそういう順番になっているのでそういうことだと思います。

 

まずはサンスクリット語にどんな音があるかですが、ここでいう「音」は生の発音自体というよりは

「その言語では同じ音とみなされる音の集まり(音素という)」です。

 

例えば、日本語の「三枚 さんまい」「三体 さんたい」「三階 さんかい」の「ん」は発音する位置がすべて違うので

音声学的にはそれぞれ違う音とされますが、日本語話者は区別しません。

どの音を発音しても同じ音素 /N/ と認識しているからです。

 

また、舌や唇などで空気の流れをふさいでから開放することで発音する音(破裂音という)には

日本語だと「有声」と「無声」の区別があります。

有声音は g, d, b のように喉仏(声帯)が震える音、無声音は k, t, p のように震えない音です。

つまり濁音と清音です。

有声音と無声音が区別されるので、

有声無声の違いだけで「ガス」「カス」のように異なる意味を表すことができます。

 

これが中国語や韓国語なんかだと有声無声の区別がなく、かわりに「有気音」と「無気音」を区別します。

有気音は破裂させた後に息が漏れる音を伴います。

発音記号では h をつけて kh, ph  みたいに書き表されることもあります。

kha だと k を発音してから a で喉を震わせるまでの間に息を漏らすような感じで「カハァ…」みたいな発音ですかね。

 

日本語で、全部有気音にして「kha tha tha tha khi」と発音しても「変な奴だな」とは思われるかもしれませんが、

「肩たたき」以外の単語として理解されることはないでしょう。

有気・無気の違いを意味の区別に使わないためです。

日本語話者にはそれぞれ /k/ /t/ という音素として認識されると思います。

 

さてサンスクリット語はというと、有声無声・有気無気両方の区別があります。

つまり唇音(唇の閉鎖→開放で出す音)だけでも p(無声無気)ph(無声有気)b(有声無気)bh(有声有気)の 4種類があることになります。

 

さらに調音位置(音を出す位置)についても日本語では歯音と区別されないそり舌音(舌を反らせて裏側を上にあてて出す音)があったり、

母音もアイウエオの5つ以外に二重母音があったりするので、

日本語と比べると音素の種類が多いです。

 

といっても、アルファベットを使って学習するにあたってはどの記号が何を表すかを覚えるだけなので、あんまり難しくありません。



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というふうに理解してきたんですけど、

Wikipediaに「認知言語学のように音素を認めない立場がある」とあって あれ?となっています。

大学で付いた先生がアンチ認知だったのでよく知りませんが、そうなのかな…

 

 

サンスクリット語の学習記録のはずが言語学基礎の復習になってしまった、あとノートの写真をきれいに撮る方法がわからない。

 

次回もまだ音声の話です。